腱鞘炎（けんしょうえん）

手首の母指（親指）側にある腱鞘（けんしょう）と、その部分を通過する腱に炎症が起こった状態をいいます。腱鞘のところでスムーズに腱が動かなくなり、手首の母指側が痛んだり、腫れたりします。母指を広げたり、動かしたりすると強く痛みます。
同様の症状が手指に起こることもあり、ばね指と言われます。指の曲げ伸ばしの際に、カクンと抵抗感があったり、悪化すると指が伸ばせなく（まげれなく）なることもあります。

• 原因

  主に手の使いすぎが原因で、スポーツや仕事で指を良く使う仕事の人に多いのが特徴です。

• 治療

  治療は、局所の安静、投薬、腱鞘内ステロイド注射などの保存的療法が行われます。

関節リウマチ

初期には手や足の指の関節が対称的に腫れることが多く､朝、こわばるような症状が現れます。人によっては膝関節や股関節などの大きな関節にも病変が認められ、水が溜まるなど、動きにくくなり、痛みのために日常生活に支障がでてきます。関節だけでなく全身の病気なので、貧血症状が現れたり、体がだるくなったり、微熱がでることもあります。症状も多彩ですが、早期の治療が重要となります。関節の痛みや腫脹が続く場合は、整形外科の受診を検討してください。

リウマチ科

肩こり

首のつけ根から肩、あるいは背中にかけて張る、凝る、痛いなどの症状があり、頭痛や吐き気を伴うこともあります。
肩こりは予防が大切です。同じ姿勢を長時間続けない、肩を温めて（蒸しタオルなど）筋肉の血行を良くする、適度な運動や体操をする、入浴で身体を温めてリラックスする、などで予防を心がけましょう。ただし、高血圧症、眼疾患、頚椎疾患、耳鼻咽喉疾患、肩関節疾患の随伴症状としての肩こりなども少なくありません。まずはご相談ください。

• 原因

  連続して長時間同じ姿勢をとる、首・背中が緊張するような姿勢での作業、姿勢が悪い人（前かがみ・猫背）、運動不足、精神的なストレスなどが原因となります。

• 治療

  肩こりの治療においては、筋肉の血流を改善させるマッサージ療法、筋緊張の緩和を図る温熱療法、筋力強化に重点を置いた運動療法などを組み合わせます。また、症状が重い場合は筋弛緩薬、局所注射などの薬物療法をご提案します。

五十肩（肩関節周囲炎）

中年以降、特に50歳代に多くみられます。
自然に治癒することもありますが、ときには日常生活に支障がでるばかりでなく、関節が癒着して動かなくなることもあります。

• 原因

  関節を構成する部分（骨・軟骨・靭帯・腱）などが老化し、肩関節の周囲に炎症が起きることが原因と考えられています。

• 治療

  急性期にはまず安静を心がけ、消炎鎮痛剤の内服、肩への注射が有効です。急性期を過ぎてからはホットパックなどの温熱療法、また拘縮（こうしゅく）予防や筋肉を強化するための運動療法を行います。

腰痛

腰痛の多くは、腰椎に負担がかかることで発症しますが、様々な病気が背景になってることもあります。成長に伴って起こるもの（側弯症、腰椎分離症、先天異常など）、加齢によって起こるもの（椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、変性すべり症など）、腰椎の骨折、外傷、感染や炎症によるもの（カリエスや化膿性脊椎炎など）、転移性脊椎腫瘍などの腫瘍によるものなどがあります。中には精神的なストレスによるものもあります。

• 原因

  成長、加齢、外傷・炎症、ストレス、腫瘍など

• 治療

  安静にしていても痛みが軽くならない、あるいは悪化する、発熱がある、足がしびれたり力が入らなかったりなどの症状を伴っている場合は、放置せずに整形外科の受診をお勧めします。

ぎっくり腰（急性腰痛症）

突然起こる強い腰の痛みで、何かを持ち上げようとしたときや腰をねじる動作をしたときに起こることが多く、場合によっては動けなくなってしまうほどの激痛が現れます。
しかし、足に痛みやしびれがあったり、力が入らなかったりなどの症状がある場合は、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの病気の可能性もあります。

• 原因

  痛みの原因は様々ですが、腰が動く関節部分や軟骨（椎間板）に許容以上の負荷がかかり、捻挫や椎間板損傷が生じる、腰の筋肉や腱・靱帯などの軟部組織の損傷、などが多いと考えられます。

• 治療

  通常ではない強い腰痛があったときは、受診して正しい診断を受けることが大切です。

腰椎椎間板ヘルニア

症状としては腰や臀部（おしり）の痛み、下肢にしびれや痛みが生じます。症状が進行すると足に力が入りにくくなることもあります。
治療は強い痛みがある時期は、安静を心がけ、コルセットを装着します。消炎鎮痛剤、坐薬、神経ブロック（炎症を抑える薬剤の注射）などで痛みを緩和します。痛みが軽くなれば、牽引や運動療法を行うこともあります。足の麻痺が進行してきたり、痛みのコントロールがつかない場合、手術治療が必要となります。最近では内視鏡による低侵襲手術も広く行われるようになっています。

• 原因

  重たい荷物を持ち上げたり、重労働の方など、腰部に負担がかかりやすい方はヘルニアを起こすリスクが高まります。

• 治療

  症状の程度により、コルセット、投薬、牽引、運動療法、外科手術など、適切な治療法をご提案します。

変形性関節症

膝関節や股関節の頻度が高く、発症するとADL（日常生活動作）障害が大きくなります。
早期より治療介入することで、痛みなく生活をすることを目指し、進行を遅らせることが可能です。
変形性膝関節症は、高齢者になるほど罹患率が高く、主な症状には膝の痛み、可動域制限（正座ができないなど）、変形（O脚やX脚）、水がたまることが挙げられます。

• 原因

  原因の多くは使いすぎ、体重負荷、外傷などをきっかけに、軟骨磨耗が生じ、それが進行して発症します。

• 治療

  軽度の場合、鎮痛剤を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射をしたりします。また運動器リハビリテーションや膝を温める物理療法を行います。

悪化すると外科手術を伴う場合があります

症状が悪化していまい、日常生活に大きな支障が出る場合は、手術治療を検討します。関節鏡（内視鏡）手術、高位脛骨骨切り術（骨を切って矯正する）、人工膝関節置換術などがあります。変形性股関節症は、初期には立ち上がりや歩き始めに足の付け根に痛みを感じます。膝関節と同様に、鎮痛薬の使用や運動器リハビリテーションによる筋力アップなどの治療が効果的です。進行するとその痛みが強くなり、持続痛（常に痛む）や夜間痛（夜寝ていても痛む）が出現するようになります。保存療法で症状がとれない場合、骨切り術や人工股関節置換術などの手術治療が検討されます。

腰部脊柱管狭窄症

下肢の痛みやしびれを伴うことが多い疾患です。
歩行していると足の痛みやだるさ、しびれが増強し、休憩のため座ると症状が緩和します。これは間歇性跛行（かんけつせいはこう）といい、腰部脊柱管狭窄症に特徴的な症状であり、長い距離を続けて歩くことができなくなります。

• 原因

  原因としては、脊柱管と呼ばれる、足など下半身の神経が通る管が、加齢や労働などにより変性変形した椎間板と、肥厚した靱帯などにより圧迫されることにより出現します。

• 治療

  まずは鎮痛薬や脊髄神経の血行を良くする薬を内服すること、リハビリテーションやコルセットの使用、ブロック注射（神経根ブロックや硬膜外ブロック）、点滴などを実施し、症状の緩和を目指します。症状が進行すれば手術が必要なこともあり、内視鏡を使った低侵襲手術が行われることもあります。