膝の痛みはなぜ階段で悪化する?上り下りで痛む原因と対策を整形外科専門医が解説
「平坦な道ではそこまで気にならないのに、階段になると膝が痛い」
「階段の下りが特につらい」
「年齢のせいだと思っていたけど、本当に大丈夫?」
このようなお悩みを抱えている方は非常に多く、整形外科でも代表的な相談内容の一つです。
階段での膝の痛みは、単なる疲れだけではなく、膝関節の変形や筋力低下、半月板のトラブルなどが関係している場合があります。
特に「上る時に痛いのか」「下りる時に痛いのか」によって、考えられる原因が異なることも少なくありません。
この記事では、階段で膝が痛くなる原因や、よくある疾患、自分でできる対策、受診の目安について整形外科専門医の視点からわかりやすく解説します。

なぜ階段で膝が痛くなるのか?
階段の上り下りでは、平地を歩く時よりも膝に大きな負担がかかります。
特に下り階段では、体重の約3〜5倍程度の負荷が膝関節に加わるともいわれています。
また、階段では膝を深く曲げる必要があるため、膝のお皿(膝蓋骨)や軟骨、半月板などに圧力が集中しやすくなります。
つまり、普段は症状が軽くても、階段という「膝に負担のかかる動作」で痛みが表面化するのです。
階段の「上り」で膝が痛い原因
太ももの筋力低下
階段を上る時には、太ももの前側にある「大腿四頭筋」が重要な役割を果たします。
この筋肉が弱くなると、膝関節で負担を支えきれなくなり、膝の痛みにつながります。
特に以下のような方は注意が必要です。
- 運動習慣が少ない
- デスクワーク中心
- 高齢者
- 膝痛を避けて動かなくなっている
筋力低下は膝痛を悪化させる大きな原因になり得ます。
変形性膝関節症の初期
中高年で多い疾患です。
膝の軟骨が徐々にすり減ることで炎症が起こり、痛みが出ます。
初期では、階段、立ち上がり、歩き始めなど、「動き始め」に痛みが出ることが特徴です。
進行すると、平地での歩行でも痛みが出るようになります。
膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)のトラブル
膝のお皿と太ももの骨の間に問題が起こる状態です。
若い方でも起こることがあり、下記の状態などで症状が悪化します。
- スポーツ
- スクワット
- 階段
また長時間の座位で「膝のお皿の周囲が痛い」という特徴があります。
階段の「下り」で膝が痛い原因
変形性膝関節症
変形性膝関節症では、特に下り階段がつらくなる方が多いです。
下りでは、体を支えながらブレーキをかける必要があるため、膝への負担が非常に大きくなり、そのため下記のような症状が出やすくなります。
- 「下りだけ痛い」
- 「怖くて降りられない」
- 「手すりが必要」
半月板損傷
半月板は、膝関節のクッションの役割をしています。
加齢やスポーツ、ひねり動作などで損傷すると、階段昇降、しゃがみ込み、方向転換などで痛みが出ます。
下記のような症状を伴うことがあります。
- 引っかかる感じ
- 膝が伸びない
- 急に痛みが走る
鵞足炎(がそくえん)
膝の内側に起こる炎症です。
ランニングや歩行量の増加などで発生しやすく、下記のタイミングに痛みが悪化することがあります。
- 階段
- 坂道
- 運動後
また膝部内側を押さえると痛いのが特徴です。
特定の動作だけで痛い場合は要注意
「ある角度だけズキッと痛む」
「曲げ伸ばしで引っかかる」
このような症状がある場合は、関節内部のトラブルが隠れている可能性があります。
代表的な原因として、
- 半月板損傷
- 関節内炎症
- 軟骨障害
- 関節内遊離体(関節ネズミ)
などがあります。
放置すると症状が悪化することもあるため、注意が必要です。
自分でできる膝痛対策
太ももの筋トレを行う
膝痛対策で最も重要なのが、大腿四頭筋の強化です。
おすすめは「膝伸ばし運動(SLR)」です。
方法
- 仰向けになる
- 片膝を立てる
- 反対側の足を伸ばしたまま持ち上げる
- 5秒キープ
- ゆっくり下ろす
10回×2〜3セットを目安に行いましょう。
膝への負担が比較的少なく、高齢者にも行いやすい運動です。
無理に深くしゃがまない
膝を深く曲げる動作は、関節への負担を増やします。
特に痛みが強い時期は、
- 和式動作
- 深いスクワット
- 長時間の正座
は避けるようにしましょう。
体重管理を行う
体重増加は膝への負担増加につながります。
一般的には、体重1kg増えると膝には約3kg以上の負担がかかるといわれています。
適正体重を維持することは、膝痛予防に非常に重要です。
階段の使い方を工夫する
階段では以下を意識しましょう。
- 手すりを使用する
- 一段ずつゆっくり降りる
- 痛い側に過度な負担をかけない
症状が強い場合は、無理せずエレベーターやエスカレーターを利用することも大切です。
サポーターやインソールを活用する
膝サポーターは、関節の安定性を高めることで痛み軽減につながる場合があります。
また、足のバランスが悪い方では、インソールが有効なケースもあります。
ただし、合わないものを使用すると逆効果になることもあるため、専門家への相談がおすすめです。

病院を受診した方がよい症状
以下のような場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
- 痛みが長引いている
- 階段のたびに強い痛みが出る
- 膝が腫れている
- 熱感がある
- 曲げ伸ばしができない
- 膝が引っかかる
- 歩行に支障がある
膝痛は、早期治療によって進行を抑えられるケースも多くあります。
「年齢のせいだから」と放置しないことが大切です。
まとめ|階段での膝の痛みは早めの対策が重要
階段で膝が痛む原因には、
- 筋力低下
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 膝蓋大腿関節の問題
など、さまざまなものがあります。
特に、
- 上りで痛い
- 下りで痛い
- 特定の動作だけ痛い
といった症状の違いは、原因を考える上で重要なヒントになります。
適切な運動や生活習慣の改善で症状が軽減することも多いですが、放置すると悪化するケースも少なくありません。
膝の痛みでお困りの方は、早めに整形外科へご相談ください。
当院について
当院(大阪市平野区)は、八尾市からも通いやすい整形外科クリニックです。
膝の痛みに対して、診察・画像検査・リハビリテーション等を組み合わせ、一人ひとりに合わせた治療を行っています。
「階段で膝が痛い」
「年齢のせいか不安」
「できれば手術は避けたい」
このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
監修医
みかわ整形外科クリニック
院長 三河 聡志
日本整形外科学会専門医。
近畿大学医学部卒業後、基幹病院にて外傷・関節・脊髄疾患など幅広い手術・診療に従事。
2023年「みかわ整形外科クリニック」を開院。
地域のかかりつけ医として一人ひとりに寄り添う医療を提供している。
所有資格
- 日本整形外科学会専門医
- 日本整形外科学会認定リウマチ医
- 日本整形外科学会認定スポーツ医
- 麻酔科標榜医
医院詳細
〒547-0012
大阪府大阪市平野区長吉六反4-6-13
長吉六反クリニックビル 2階
みかわ整形外科クリニック
